SDサウンド 真空管試験器 TC2製作記

真空管アンプを2セット所有するようになってから、差し替え用の真空管を購入し始めました。また、いままでに手持ちで持っていた真空管もあり、それらの良否判定や、エージング、などの測定をしたいと思うようになりました。

米軍放出のTV-7などの試験器を購入を検討していたのですが、価格がやや高価であること、試験器自体が古いためメンテナンスを要するなどのデメリットがあります。メリットは様々な真空管に対応していることですが、悩むところです。

試作も考えたのですが、シャーシパンチなどの工具を持っていないため、これは諦めることになりました。そこで、検索エンジンで検索していると、SDサウンド社から真空管試験器が発売されていて、さらにキットもあるとのこと。TV-7のように様々な真空管には対応していないが、手持ちの真空管にはほぼ対応していたため、そのなかのTC2でキットを購入することになりました。販路が身近になかったため、SV-4を購入したザ・キット屋の大橋さんに相談をして、ザ・キット屋さん経由で購入をすることになりました。

梱包状態
 早速、SDサウンドのTC2が宅配便で送られて来ました。大きさはシャシーの大きさより一回り大きいくらいです。重さはちょっとずっしりしています。さぁ、これから真空管試験器の製作に入ります。
パーツが中に入っている
 箱から出してみました。パーツ類はシャーシ内に収められていました。各ソケットの所に適応している代表真空管の名前がシルク印刷されています。
バックパネルを開けてみた
 シャーシのバックパネルを開けてみました。なかにビッシリとパーツと組み立ての説明書が入っています。電源トランスは取り付け済みでした。
パーツ類
 パーツと説明書です。CR類は紙に定数が書かれてあり、そこにテープで貼ってありました。
 ビスはやや長さが足りなものがあり、ちょっと困りました。それは2A3、300Bなどのソケットを固定するビスなのですが、ワッシャーを間に入れると短すぎ、ナットを締めることができませんでしたので、手持ちのビスで代用しました。
電源トランス
 電源トランスが取り付けられた状態です。あと、ラグ端子、取り付け用のビス、スペーサー等も始めから取り付けられていました。電源トランスはオートトランスタイプで高圧(約200V)を得ていました。また、バイアス、ヒータ用は2次捲き線があります。
 前の機種VC2ではトランスはシャーシ上にありましたが、TC2からシャーし内に収まるように変更されています。
ソケット取り付け
 シャーシにラグ端子と真空管のソケットを取り付けました。個々までの作業で2時間を費やしました。
 ラグ端子など、シャーシにアースをするポイントでは、シャーシの塗装をはがす必要があります。説明書にはその点は書かれていませんね。
シャーシ上面から
 MT管のソケットを上からの取り付けにするか、下からにするか悩みましたが、上から取り付けることにしました。
SW類も取り付けた
 テスト端子、SW、フューズホルダーなどを取り付けました。Gm測定をするために電源電圧を変化させるためには、更にSWを増設しなくてはなりません。そのためには一か所穴開けをしなくてはならないため、今回は穴開けをせずに作業を進めることにしました。
ツマミも取り付けた
 シャーシの上から見た感じです。ここまでで半日かかってしまいましたので、作業は次週に持ち越しとしました。
 それにしても説明書、わかりずらいです。配線ミスをしないように進めないとならないのですが、よく確認しながら進めていこうと思います。
内部配線にとりかかる
 内部の配線を始めました。説明書にはMT管用のソケットのセンターピンを抜くと配線がし易くなります。と書かれているので、センターピンをラジオペンチで引き抜きます。
 さて配線でしが、もうこれが大変。配線数が多く、うまくまとめなくてはならないのですが、なかなか綺麗に取り回せませんでした。ここまでの配線で半日を費やしてしまい、完成は次週に持ち越し。根性がなくなったなぁと思いました。
内部配線も完成
 やっと配線が終わり、平ラグ上に整流回路、プレート電流測定ようの抵抗などを取り付け、なんとか終了。各部の電圧チェック中に片側のプレート電圧をショートさせてしまい、ヒューズが切れました。更に1Ωのプレート電流測定用の抵抗も1Ωから1.2Ωに変化してしまい、手持ちにあった抵抗から特性が揃った1Ωを選別して交換しました。
 また、高圧の整流用ブリッジが若干逆耐圧不足です。SDサウンドに話をしたところ逆耐圧600Vのブリッジを送っていただきました。
測定中1
 完成後、真空管の測定をしてみました。手持ちの6L6GC(中国製、クラシック・コンポーネンツブランド)です。ペアチューブではありません。測定端子はプレート電圧、プレート電流、バイアス電圧が測定できるようになっています。バイアス電圧は可変できるようになっていますので、指定の定格を越えないようにバイアス電圧を設定します。
測定中2
 バイアス電圧を-18Vに設定。プレート電圧が250V、現在流れているプレート電流が53.3mAです。測定時にSWをLからRに切り替えることで2本のプレート電流を瞬時に測定できます。R側のプレート電流は56.2mAでした。そう大きなばらつきではないようです。
測定中3
 プレート電圧もデジタルテスターで測定をして、正確に記録しておかないといけないのですが、手持ちには2個しかデジタルテスターがないので、近いうちにもう1個買いたいと思います。
 また、PCL86の測定をしたいのですが、14V前後のヒータ電圧が必要なため、この電圧をなんとか用意しなくてはなりません。倍電圧整流回路を考えようかなぁ。
15V電源
 TC2は標準ではPCL86(14GW8)のようなヒータ電圧には対応していないため、回路を付加しなくてはならない。1つは6V電源を倍電圧整流して14Vを得ること。もう一つは別にヒータ用電源を設けることです。
 秋葉原に行ったときに秋月電子に15V0.8Aの定電圧ACアダプタが600円で販売されていたので、これにしました。電圧は15.2V、ちょっと高めですが安定化されているので、これを6DJ8の部分のソケットに配線し、PCL86用に配線しました。
PCL86測定中
 サンエイ電機で購入して良否の判定ができていなかったPCL86の測定を開始しました。電圧増幅部の3極部はとても特性が揃っていて255V時、-2Vバイアスで1.2mA)前後でした。電力増幅部の5極部はややばらつきがありましたが、どれも元気でした。250V時、-7Vバイアスで36mA〜48mAまで幅がありました。
UXソケット
 2A3、300Bのソケットとシャーシの間のスペースがとても少ないと思っていながらも、ずーっと放置していましたが、ソケットには250V近い電圧が掛かっている部分もありますので、ソケットを取り付けているビスを長めの物に変更し、シャーシとソケットの間にナット(2mm程度のもの)を入れスペースを確保するように変更してみました。
 左の写真(斜めから撮ったものがないので見にくいですが)がスペースが殆どない状態、右の写真がナットを入れスペースを確保した状態です。
電源SW部の改造
 SW増設に伴いネオン管の穴もSWに使用することにしましたので、ヒータ電源、高圧電源各々にPL(LED)を付けることにしました。
 従来は高圧がONの時だけネオン管が点灯していましたが、ヒータ電源ONでもLEDが点灯するようにしましたので、判りやすくなりました。
高圧側の改造
 高圧の捲線は190Vと185Vしか出ていなく、6AK5などの低圧管を測定するのには電圧が高すぎたので100Vラインも使用することにしました。190Vタップの場合は整流後約250V、100Vの場合は整流後約135Vとして使用できます。
 またヒータ電圧を5V、6.3V、10Vを切り替えるようにしました。
MT7ピンのピン切替SW改造
 従来6AU6の場所を6AQ5や6AK5用に配線を変えてしまっていたのですが、6AU6系も使用することになったのと、EL91系も使用できるように切替SWを付けることにしました。これで大部分のMT7ピンの5極管を測定することが出来るようになりました。